とっさに選んだフィンランド土産2品
つい最近、フィンランドから帰ってきたPさんからお土産をもらいました。
さかのぼること1週間前。
「アレパなう。お土産何がいい?」と連絡をくれたPさんはすでにヴァンター空港に接近中。アレパとはフィンランドのスーパーマーケットです。
時差の関係で風呂上がりにそのメッセを受け取った私は脊髄反射的に
「Fazerの板チョコ!あとTosi tummaのパン!」
と返信しました。こうして首尾よくミッションコンプリートしてくれたPさんのおかげで我が家にやってきたのはこちら。
ファッツェルのチョコレートは一口サイズのものが一時期ナチュラルローソンや成城石井、カルディにも売ってたので有名かと思います。
ゲイシャチョコ、おいしいのに最近都内で見かけないんですよね。
昨日買ってきてからずっと食べてる。ヘーゼルナッツのフィリングがうまいし、チョコは結構甘めなのでコーヒーにめちゃくちゃ合う。ブログや勉強のお供のいかがでしょうか。よく探したらアマゾンでも買えるみたいっす。https://t.co/tihRPV8fNg pic.twitter.com/o30mlS8Hmg
— Sleepyhead | 音楽のブログ (@SleepyHead_blog) 2019年1月27日
私が勝手にトシ トゥンマと呼んでるライ麦パンのバンズ。本当の商品名は「Oululainen(オウルの人)」というメーカーの「Reissumies(旅人)」。お出かけにちょうどよいサイズです。
リュックを背負ったおじさんのパッケージは一度見たら忘れません。(このおじさんは実在する教師だとフィンランド人の友達が言ってました。)
何種類かある中で、Tosi tumma(直訳:とても濃い)がとくに甘みが強くて気に入ってますが、小さなアレパになかったそうなので今回はtäysjyväruis(ライ麦の全粒)。ライ麦100%なのでトシトゥンマより食物繊維が豊富そう。
さっそくパンにクリームチーズを塗り、付け合わせにはベビーリーフとヴィネグレットソースを和えたサラダ。
このサラダはポルヴォーでレストラン経営をしているホームステイ先の食卓にほぼ毎日あがっていたもの。今日はついでに、もらいもののサーモンの血合肉をのせました。
ライ麦パンは日本のふわっふわな柔らかなものとは真逆なので、久々に食べるとあごが疲れました。でも噛めば噛むほど味が出るのでやっぱりおいしいです。
こういうライ麦の濃いパンは日本だとなかなかないからありがたみがすごい。大満足。(Pさん、ありがとうございました。)
ちなみに在日フィンランド人のグループで定期的に「都内のスーパーでフィンランドのライ麦パン売ってるところありませんか?」というスレッドが定期的に立つのですが、毎回誰かしらが「新宿のKINOKUNIYAで見たよ!」と回答してます。
たしかに、紀ノ国屋 表参道店に300円くらいで売ってました。売り場にはフィンランドの国旗シールまで貼ってありました。1袋が大きすぎたので私は買って食べたことはないけれど、フィンランド人も認める味だそうです。
気になる人はお試しあれ。
それでは、もいもーい。
国際女性デーについて思うこと
今日3月8日は国際女性デーです。女性の自由や平等を世界的にお祝いする日です。
私は日本で生活しているうちにそのことをすっかり忘れていましたが、フィンランド人の友人(男性)から「Hyvää naistenpäivää!(すてきな女性の日を!)」とお祝いのメッセージが来て、そのことをハッと思い出しました。
Facebookを開くと、フィンランドの大手企業も個人経営のショップやカフェも、個々人のアカウントも、今日を祝い、女性やお花の写真をアップしていて、タイムラインがとてもカラフルなのです。
(ここに載せるとキリがないくらいみんな投稿してます!)
日本でも人気のテキスタイルメーカー ラプアンカンクリ▼
ポルヴォーのスーパーマーケット▼
ちなみに、イタリアでは男性が女性へのリスペクトとしてミモザの花を贈る風習があるそうです。
そこから波及したのか、日本のインテリアショップやInstagramにいるほっこり系の人たちは「今日はミモザの日ですね!」とミモザで作ったリースやスワッグなどをアップしている様子が「丁寧な暮らし」ブームの後押しもあってか、ここ数年よく見られます。
堂々と「国際女性デーです!」と言いにくい、言う発想がない、というあたりに男女格差が先進国の中で最低の日本を垣間見たようで、私は毎年一瞬だけ、どんよりした気持ちになっている気がします。
とはいえ、今日は職場のTOKYO FMに耳を傾けると、国際女性デーに関するイベントの告知や国際女性デーを祝う欧米セレブのツイートの和訳などが読み上げられていました。この国も少しずつでも変わっていくとよいのですが。
(追記)
私がポルヴォーでインターンしていたときの国際女性デーでは、滅多に事務室に来ないヘッス先生(男性)が「Hyvää naistenpäivää!」とコーヒー休憩にぴったりのペイストリーとお花を差し入れてくれたのでした。
【新店舗】ミナ ペルホネン エラヴァに行ってきました
先週、馬喰町にminä perhonenの新店舗elävä IとⅡがオープンしました。eläväとはフィンランド語でliving、「暮らし」の意味にあたります。
eläväという言葉。私はフィンランド語を話すときにあまり使ったことはありませんが、マリメッコの創業者アルミ・ラティアの半生を描いたフィンランド映画「ファブリックの女王」の原題が「Armi elää!」(※「アルミは生きている」と私は意訳)なのでイメージ的にすんなり入ってきました。
elävä Iでは1Fは食料品売り場、2Fはギャラリーになっています。
なんでも、有機栽培のお野菜や「生きてる!味噌」という生のお味噌は、デザイナー皆川明さんの実のお姉さまがお作りになったものだそうです。酵母が生きているお味噌は呼吸をするので袋にバルブが付いていました。
このエピソードを聞いているだけで、日本食が恋しい人がこのお味噌を食べたら涙が止まらなくなってしまうのでは・・・と思いました。
2Fは私が尋ねたときは混んでいたのであまり見ていませんが、生花や真鍮のモビール、砂などあらゆる物質の質感をじっくり見つめることができる展示スペースになっていました。
elävä ⅡはIから歩いて1分程度の建物の2Fにあります。
こちらの店舗にはミナペルホネンのお洋服のアーカイヴと、フィンランドを代表する家具メーカーartekのヴィンテージ家具やiittalaのバードのオブジェなどがたくさん置いてあります。
artekのテーブルのサイドを見ると、らくがきの跡がたくさんありました。ARIというのを見つけましたが、たぶん男の子の名前ですね。
elävä Ⅱでは、ヴィンテージ家具のオーダーの際に、お好みに応じてミナペルホネンの生地を座面に張ったり、皆川さんに絵を描いてもらったりすることが可能なのだそうです。
はるばる海を渡ってきたヴィンテージ品にはただでさえロマンを感じますが、そこに好きな生地やイラストが加わったらたまらないですね…
店内には花器もたくさんあり、生花が活けてあります。
minä perhonenやYAECAなど、私の中で東京でつくづく素敵だと感じるお店はほぼ100%、店内に生花がある気がします。
水を替えたり、葉っぱや花の色の変化を気にかけたりする、ちょっとした手間が毎日ありますが、きっとその手間をお店という空間にかける価値観は、ブランドの姿勢やプロダクトの細部に少なからず表れていて、それが根強いファンを増やし続けているのでは、と私はぼんやり考えたのでした。
バレンタインデーは友達の日
バレンタインデーですね。せっかくなので、私の経験した日フィンそれぞれのバレンタインデーをご紹介します。
日本の企業では大手やベンチャー問わず、バレンタインデーの1週間前になると姉御肌の女性社員が社内チャットやSlack、Facebookなどで女性だけのグループを作り始めます。
そして500円ずつ出し合って、男性陣向けにチョコを用意します。場合によっては若手社員が買い出し要員になります。
2月14日のランチタイム後になると、グループチャットで「今から渡しますよー!」と伝達が来て、女性社員が一斉に最寄りの男性社員にチョコを手渡します。
正直に言うと、どの会社でも大してオフィスの空気が盛り上がった記憶はありません。(業績の良し悪しに関係なく)
驚いたのは、ある職場で
役員→ゴディバ
中堅社員→メリーチョコレート
いじられ系社員→ブラックサンダー
という割り振りになっていたことです。
こういったケースは1社でしか遭遇してませんが、、他社でもわりと起こり得るのかな?
本人がブラックサンダーをデスクに備蓄していないかぎりは、ここまで階段つけるのはちょっと・・・と当時の私は思いました。
さて、ここからはフィンランドのバレンタインデー、Ystävän päivä(友達の日)についてです。
この日は男女関係なく「Hyvää Ystävänpäivää!」とカードやメッセージを送り合ったり、共用スペースに花を飾ったり、ホストファミリーと一緒におやつを食べてコーヒーを飲んで過ごしていました。
日本では友チョコ文化はあるものの「女→男」ってベクトルが強いですが、フィンランドではこのくくりがないし、男女関係よりも友達関係のほうがイベントの当事者も圧倒的に多くなるし、日本にも「友達の日」があればいいのにと思いました。
そもそも、キリスト教の国じゃない日本でハロウィンやイースターが近年盛り上がってきているのに、国や宗教を超えてユニバーサルなテーマ「友達」にフォーカスしてお祝いする日がないことのほうが不思議に思えてしまうのは私だけでしょうか。
(補足:日本では7月20日が「友だちの日」らしいです。初耳)
先週の恵方巻きにも言えることですが、スーパーやコンビニ、百貨店に大量に並ぶチョコレートは売れ残ったらどこへ行くのでしょうか。
海外に出るまで気づきもしなかったけれど、この国はモノもサービスも過剰だと改めて実感しています。一方で、かゆいところに手が届くものも多く、私も恩恵を受けている面もありますが。
とはいえ外国人の観光客や労働者の受け入れや、日本人の人口の減少で、やがてこの風潮にも限界が来る時代がやってくるのかも?とも思っています。
ここまで日本のバレンタインデーについてのモヤモヤを書きましたが、今日はムーミンのチョコレートをいただいてルンルンです。
季節のおやつラスキアイスプッラ沼にハマった過去
早いもので2月ですね。食べ物の話が続きますが。。
暦が2月に入ると、フィンランドでラスキアイスプッラ laskiaispullaというスイーツが出回ります。
見た目は少しハンバーガーに似ており、ホイップクリームがはさまった甘いパンといったところでしょうか。
日本のGoogle検索窓にlaskiaispullaと入れると、「セムラ」というのがドーンと右側に出てきますが同じ趣旨のものと思われます。
そもそもラスキアイスプッラは隣国スウェーデンが起源と云われており、イースターに向けた断食期間前の火曜日に食すカロリー爆弾早春の食べ物です。
私もスウェーデンに降り立ったときはカフェからセブンイレブンまで、あらゆるセムラを食べ歩きました。
ストックホルム老舗カフェ、Vete-Katten。コーヒーはおかわりできるし、もっと長く滞在したかった。
旧市街地やセーデルマルムに点在する人気のカフェFabriqueにもセムラが。
帰りの船でもこりずにセムラ。
ちょうどこのころ、インターン先でうつ病退職した職員の穴埋めとして私はボランティアという立場を逸してタダ働き要員に。
そのストレスなどから全身に蕁麻疹ができて痒みで眠れず、病院送りになったり、過食とグルテン中毒に悩ませられたり。
ミイラ取りがミイラになるというか、、もはやこっちもうつになりそうだったかもしれません(苦笑)
それらのストレスを誰にも相談せず食にぶつけてたのかな…と当時撮り溜めた写真を今見て自分自身ちょっと引いてます。(食べ物に罪はない)
日本のメディアはあんまり報じないけれど、人々のやりたがらない仕事はその国においてどうしても言語やバックグラウンドに制限のある外国人に回されてしまうんですよね。
日本のコンビニや飲食のチェーン店の店員さんに外国の人が多い現象と少なからず近いと思います。
話が寄り道しちゃいましたが、フィンランドでもあちこちのカフェでラスキアイスプッラが登場。スーパーでも大手のFazer社にとどまらずローカルなメーカーのものも食べ比べたりもしていました。
これは、マリメッコのヘルットニエミ本社の近くのローカルなカフェのもの。
ところで、ラスキアイスプッラにはホイップクリームとともにラズベリージャムvadelma hilloかアーモンドペースト manteli massa、どちらかが入っています。
私個人としては断然ラズベリージャム派。
甘いパン×ホイップクリーム×アーモンドペーストはもったり甘すぎる。あとアーモンドの繊維が口に残る感覚がちょっと苦手かも。
一方で、ラズベリージャムはフルーティーさが良いアクセントに感じられます。
ホームステイ先の手作りラスキアイスプッラもジャム派でした。
私の周りにはアーモンドペースト派があまりいなかったので、そのことをフィンランド人の友達に話すと、こんな夕刊の記事リンク(2014年)を送ってくれました。
フィンランドで2990人にアンケートを取った結果、ジャム派は55.7%、アーモンドペースト派は44.3%だそう。回答者の声を読んで「なるほど〜そんな考え方があるのか」と思ったのは以下。
"Mantelimassa ehdottomasti! Hilloa on jo kaikkialla muualla: munkeissa, aamiaishiutaleiden kera, jugurteissa, viileissä, viinereissä, lettujen kyytipoikana, puuroissa ym.
絶対にアーモンドペースト!ジャムはすでにあらゆるところに入ってる。ドーナッツ、朝食のシリアル、ヨーグルト、ヴィーッリ、デニッシュ、パンケーキの付け合せ(?)、ポリッジ。
うーん、たしかにラズベリージャム的なものは乳製品をはじめいろんな食品に入ってますね。
また、そもそもアーモンドペースト入りがオリジナルであり、ジャム入りは1970年代にアーモンドペーストを入れる習慣のない田舎者たちへ(失礼)広まったこと、またジャムの方が安価で手に入りやすくどの家にもあったからというのが広まった背景がある、という記載もありました。
▼夕刊の記事より。赤:ジャム派の多いエリア、黄:アーモンドペースト派の多いエリア、オレンジ:(回答者が少なく)同点、無色:回答なし
それからおもしろいのが、ヘルシンキはアーモンドペースト派の方が多く、隣町のエスポーはジャム派の方が多い、と地域によって(回答者数の母数がそろってないけど)差があることです。
ブログ書いてたらラスキアイスプッラ食べたくなってきてしまいました。。
フィンランドオタクの友人ユニットが春先に1日限定のフィンランドカフェ開催を予定しているそうなので、そのときに食べられたらうれしいな〜と想いを馳せるのでした。
ルーネベリの日にルーネベリ邸に行った話
先週1月21日にフィンランドの国民的詩人ルーネベリの愛したルーネベリタルトがNHKの「グレーテルのかまど」で特集されていたと友人が教えてくれました。
私はテレビを見ないしそもそも持ってないのでどんな内容だったかは分かりませんが、公式サイトでは写真付きのレシピが掲載されています。気になる方はどうぞ。
私が2017年までポルヴォーに住んでいた時はまさしく「Runeberginkatu(ルーネベリ通り)」で始まる住所で、隣の公園にはルーネベリの像がありました。
また、歩いて2分のところにはルーネベリ邸があり、ルーネベリの日である2月5日は無料開放され、ルーネベリタルトが振る舞われると聞いています。
ルーネベリタルトとは、(起源は諸説ありますが)ルーネベリの妻フレドリカがジンジャークッキーなどの残り物と一緒に焼いたカップケーキのようなもので、ルーネベリの好物だったそうです。
2月になるとフィンランドのカフェやスーパーなどで見かける季節のおやつです。ずっしり重めのスイーツなので、私はコーヒーとちびちび食べるのが好きです。
もちろん学校のコーヒー休憩にもルーネベリタルトが登場します。こちらはポルヴォーのご当地ベーカリーHenriksson Leipomoのもの。実店舗はなく、ポルヴォーのスーパー、ときにはヘルシンキのスーパーでも取扱いがあります。(キルシ先生はここのルーネベリタルトが一番美味しいと言ってました。)
ちなみにポルヴォーではバスセンターのすぐ近くにあるHanna Mariaというフィンランドの伝統料理が食べられるレストランでは季節問わず食べることができるそうです。価格帯も観光地の中ではお手頃な方なので、旅行にいらした際はぜひ。
さて、2年前の2月5日、私が買い付け旅行から帰ってきた夕方に行くとタルトは皆無でしたが、邸宅をじっくり見ることができました。
現在も大人は8€、18歳以下は無料で入館できます。夏と冬とで開館日がかなり異なるので行く前にポルヴォー市のサイトを要確認です。
こちらはルーネベリの日のヘルシンキ。国家が掲げられてました。
ポルヴォーに帰ると雪が積もってました。フィンランドではあるあるですが、こういう立て看板は片面はスウェーデン語、もう片面はフィンランド語で書いてあります。
赤と白のコントラストがきれい。
窓辺にキャンドルが灯っている光景を見るとなんだかホッとします。
さっそくルーネベリ邸に入ってみました。緑が多くて良い感じです。
古き良き洗練されたインテリアで屋内は静謐な空気が流れていますが、しれっとルーネベリタルトが置いてあったりするところがなんとも言えません。笑
アーティストが集まるサロンのような部屋。
ルーネベリは趣味の中でもとりわけ狩猟や釣りがお気に入りだったそう。
ここにもルーネベリタルトを発見。手作り感がかわいらしい。
ところどころ花の切り絵がポツンと飾ってあります。フレドリカが作ったのでしょうか。
ちっちゃな物販エリアではルーネベリタルトのレシピ本とタルト型が売っていました。「ルーネベリ邸で買う」と元祖感が出るので、ついほしくなっちゃいますね。
その日の夜、どこからともなく美しい合唱の声が聞こえてきたので、外に出ると、ルーネベリ像の周りに合唱団と町の人々が集まり、彼の誕生日を祝していました。
ポ、ポルヴォーとは思えない人口密度・・・!しかもほんの1分くらいの間に職場の人や生徒の親御さんとも遭遇しました。ポルヴォー小さい!
彼が活躍した時代は19世紀ですが、きっとこの先も国民に愛され続ける詩人なのだと思います。
日本のサウナ観への違和感
先週末に『公衆サウナの国フィンランド 街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』の著者こばやしあやなさんのトークイベントへ行ってきました。
年始のうちに本書を予習していたとき、私はとりわけ以下のフレーズに出会って、今まで抱えていた日本でのサウナ観に関するモヤモヤがスッキリ晴れたのでここに記しておきたいと思います。
例えば、蒸気が出たあとに「フュヴァット・ロウリュット(いいロウリュだね)」というフレーズをつぶやいたりはするものの、「ととのう」に該当するサウナタイムの常套句は、そもそもフィンランド語には見当たらないのです。
ほんとにそう!!その言葉を待ってました!!!!(心の声)
日本のサウナ好きの方々にとってサウナは「ととのう」ための場所という考え方らしいのです。一方、私はフィンランドで1年以上生活していましたが、フィンランド人がサウナに関して「ととのいにいく」「ととのった」といった趣旨の言葉を口にする瞬間には一度も遭遇したことがありません。
日本の人が「サウナでととのいました!」「ととのいにきました!」とツイートするのを初めて見た私は、サウナ我慢大会をしながら大喜利をしてるのかと想像しましたが、誰も一向に大喜利の回答に触れないことから「(フィジカルなりメンタルなりを)整える」という意味だったことをあとあと認識したのです。
それから、サウナー(サウナ愛好家)にあたるフィンランド語も耳にしたことがありません。たぶん、フィンランド語にするとsaunoa<動詞>+ja<役割・職業の接尾語>でサウナヤ saunajaになるのかな。いずれにせよ聞いたことはないですが。
私の体感ではフィンランドでの「サウナ入る?」は「今日はお風呂にする?それともシャワー?」のような気軽さ。ここではサウナはごく日常生活圏内のものであるのに対し、日本ではわざわざ(ときには遠出してまで)入りに行くところであるから、このようなツイートや言葉が生まれるのだなと、文化のちがいをおもしろく思いました。
どうして「ととのう」という考え方が日本に根付いたのかを私なりに想像してみると、ここ3,4年かでマインドフルネスやヨガが流行っているように「心と体を健康的にする活動」が今の日本では求められているということです。(裏返せば、それだけ日本の人々は一昔前よりもストレスフルな毎日を送っているのでは?とも)
この活動を言い換えると「浄化する」「整える」だと思います。
あやなさんは著書で、日本の入浴文化とフィンランドのサウナは、はるか昔からそれぞれ禊や湯灌、お産や遺体の洗浄の場として使われてきたことから神聖な場所であることを指摘されており、サウナとは「浄化する場」という点ですごくしっくりきます。
先月、フィンランド人のクリスマスパーティーにおじゃまするために8年間住んだ目白の街を久しぶりに歩きました。
そこで一番感じた変化は、ほんの2年の間にスポーツジムが4,5箇所も新しくできていたことです。新しくてきれいなクリニックやドラッグストアもいくつか見かけました。
ほんの小さな街を歩いただけでも、心身の健康に対する関心度の高まりを感じたので、この「ととのう」サウナブームとも少なからず関係あるのではと思ったのでした。
この1,2年のムーブメントによって、件の「ととのう」が日本のメディアで独り歩きしたら、フィンランドの人々に対して「世界一幸せ」「ほっこり丁寧な暮らし」に加え、「サウナでととのってる」というイメージが定着していくのかもしれませんね。