天国の散歩道
2016.7.14.
私の入国した翌日にフィンランド入りしたHさんから散歩へ行かないかとの誘いがありました。時刻はすでに21時過ぎですが、夏のフィンランドはこの時間帯でも真昼のように明るいのです。
私は二つ返事で、待ち合わせ場所のアラビアファクトリー前に向かいました。定刻どおりに現れたHさんと合流して、そこから技術博物館 Tekniikan museoのバス停近くの橋へと歩いて行きます。
夜遅い時間帯なので人は少ないですが、ランニングする人、私たちに絡んでこようとする酔っぱらいの中年男女など、皆思い思いに夏の夜を楽しんでいます。
茂みを越えて視界が開けた先には優しい色の空と湖が広がっており、遠くには気球も見えます。聞こえるのは鳥のさえずりと風の音だけです。
私の中では、美しい景色の最大値が更新された瞬間でした。
iPhoneカメラのパノラマ機能をあまり使ったことがないのですが、私はこの瞬間を心から残しておきたいと感じたので、息を止めて何度も撮影にトライしました。
こらこら、ペットボトルを入れないでくださいよHさん。
今度は成功!
あまりにも水辺が静かなので、私は小学生時代に替え歌が流行った「静かな湖畔」の輪唱を思い出しました。
Hさんも原曲を知っているようでしたが、歌詞が地域や世代で異なるのか、全く噛み合わなかったため、輪唱は断念しました。無念。
ちなみに今回の散歩コースにあったカフェ Koskenrantaは営業していませんでしたが、工場のような平屋の外観が素敵だったので、いつか行ってみたいです。
いつまでも見ていたい風景に出会えた幸せな夜なのでした。
待ち合わせは"ケバブ教会"前で
2016.7.14.
アラビア生活開始から早くも3日後にヒエタラハティのJさんのアパートへ引っ越しを控えています。
Jさんはアラビアのアパートの家主Iさんが紹介してくださったフィンランド人男性で、私はお会いしたことはありません。
事前に鍵の受け渡しについて家主のJさんへメッセを送りました。すると、Jさんは日本旅行中にもかかわらず、すぐに返信が来たではありませんか。
私の数少ない経験での話ですが、皆この時期は夏休みで海外旅行や電波の届かないサマーコテージに行っている人も多く、レスポンスも2週間後や1ヶ月後ということが十分あり得ます。
(Jさんの大好きな日本旅行中に、私とのやりとりで時間をいただいてしまって申し訳ない。。)
しかしJさんのおかげで、安心してスムーズに鍵の受け渡し日時と場所を決めることができました。(感謝)
待ち合わせ場所はカンッピ教会 Kampin kappeli前と希望したところ、Jさんは
“The kebab church!!”
と確認してくれました。
確かに、そう言われてみると、ケバブに見える!
原宿の竹下通りを抜けた先や上野のアメ横で見かけるお肉のかたまりですね。
ケバブ肉は好きですが、あの辺りは店員さんが陽気に絡んでくるので苦手でした(笑)
「おもしろいから、私もこれからkebab churchって呼ぶようにしますね!」と返したところ、Jさんは「フィン人の皆がそう呼んでるわけじゃないよ」とのこと。
危うくこれから地元民ぶってkebab churchというワードをドヤ顔で連発するところだったので、私はJさんの親切さと、この補足情報をとてもありがたく思ったのでした。
ヘルシンキ1日目
フィンランドに来て、初めての朝を迎えました。カモメの鳴き声で目が覚めたので、海への近さを感じます。
朝食はベランダで食べたのですが、外のきれいな光の粒子と澄んだ空気がとても気持ち良いのです。ベランダ最高。ベランダに住みたい。
誕生日プレゼントにベランダが欲しい、とさえ思い始めました。
Iさんの家のキッチンで、日本で見慣れぬアイテムを発見。化繊素材の手袋にはpotatoと印字されています。さすが、イモ(とパン)が主食の国。
イモ洗いグローブ・・・
以前読んだ本に「イモの芽には毒素が含まれているから、イモ主食圏外の人種の体質にはイモ食は合わない」と書いていたような。
アジア人以外は海苔の消化ができない、という話にも似ている気がします。
イモの食べ過ぎで太りたくはないけれど、この手袋は私も家のキッチンにぶら下げておきたいと思ったのでした。
アラビアで始まる新生活
2016.7.13.
フライトは終始順調で、定刻どおりヘルシンキ・ヴァンター空港へ到着しました。
空港の自動ドアが開いて、肌寒いけれど澄んだ空気を吸い込んで、「ああ、ここに帰ってこれた」と、自分の生まれ育った場所じゃないのにホッとしました。
これは、私が初めてフィンランドに上陸した時の感覚と変わりません。私の遠い遠い先祖は、きっと北欧で生まれたのだろうと確信しています。
空港でスーツケースを受け取った後にエアポートバスより2€ほど安い、615番の市営バスに乗り込みました。今日から私は旅行者ではなく、市民なのだ。(キリッ)
チケットは1時間有効なので、中央駅で降りて、すぐに6番トラムに乗り換えてアラビアを目指します。
最初の滞在先は、家族旅行中で家を空けているフィンランド人Iさんのアパート。日本人フォトグラファーのAさんが紹介してくださいました。(感謝)
Iさんご本人は不在のため、鍵の受け渡しをしてくださったのはIさんの友人Mさんです。Mさんとは初対面です。
空港に着いてMさんにメッセージを送ると、びっくりするほどすぐにレスポンスが返ってきました。
そして彼は定刻どおりに待ち合わせ場所に来てくれて、鍵を渡してくれました。そのうえスーツケースまで搬入してくれました。
家のファシリティについてひととおり説明してくれて、必要だったらサウナもつけるから言ってね!と。至れり尽くせりです。(本当にありがとう、、Mさん!)
別れ際に、ささやかだけど日本から持ってきた柿の種などをお渡ししました。喜んでくれたらうれしいな・・・
サウナに入りたかったけれど、ずっと下の親知らずの抜歯跡が痛いのでやめました。血行が良くなったらますます血が出そうでこわいのです。
3週間前の抜歯以来、毎日痛くて数時間おきにロキソニンを飲んでいます。
(いつになったらこの痛みがなくなるんだろう。。。)
抜歯2日後に食べたトンカツの衣が抜歯跡に直撃した時の痛みも忘れられません。日本食を食べられなくなる焦りからの選択ですが、後悔してます。
(痛いけど、お腹空いてるし、食材の買い出しに出かけなければ。。)
一人になった私は、お財布とスマホを大きな布バッグに入れてアラビアの街に繰り出したのでした。
アラビアの街が描かれたアパートを近所で発見。
北欧、暮らしの道具店 FIKA NIGHTに行ってきました
2018.5.26.
今日は、今私が住んでいる東京での話になります。
北欧、暮らしの道具店のトークイベントFIKA NIGHTに行ってきました。
写真家の中川正子さんと店長の佐藤さんが今回のテーマにあたる「私らしさを作るもの・こと」についてお話をされます。
お話を聞く前は、お二人ともそれぞれ写真やインテリアについてお若いころから着実にキャリアを積んでこられているイメージを持っていました。
しかし実際は20代のころに軸がふわっとしていたため、ここに来るまで様々な紆余曲折があったそうです。
焦っていることがデフォルトだったこと、日中はコールセンターで仕事をして夜はカフェやリフレクソロジーの勉強をしていたことなど、今の、せかせかしている自分に重なる感覚がありました。
北欧、暮らしの道具店のメインユーザー層=ママさんのイメージなので、家事や育児のトピックを想像していましたが、決してそちらに偏ることはなく、キャリアに悶々とする20代の私にも刺さりました。
私もフィンランドで経験したあらゆる仕事や得た知識が、今の仕事に直結しているとは言いがたいけれど「あのときの経験が役立った!」って前向きに捉えられる瞬間を見逃さないように、目の前のことに粛々と取り組もうと思います。
最近ウォーキングばかりだったので、私もランニング再開しよう。。
羽田~ヘルシンキ便でのうれしい再会
今回の渡航のルートは【羽田空港 → 関西国際空港 → ヘルシンキ・ヴァンター空港】
一方で、大抵は【成田空港 → ヘルシンキ・ヴァンター空港】なのですが、多くの都民にとって、これはちょっとしんどいはず。
まず都内から成田空港へ行くまでが長い。そのうえ10:30のフライトでも8:30には空港にいる必要がありますし、有事に備えてバッファも含めると、どうしても早朝スタートになります。
今回の羽田空港発の場合は、目白 → 大崎 → 羽田空港と大変シンプル。ただし、通勤ラッシュを避けるために、私の出発は成田空港へ行く時間とあまり変わりませんでした。
ちなみに、7月のフィンランドは素晴らしい夏の季節ですが、平日発着だったのか航空券代は76,000円程度。お安い!
羽田空港には早く着きすぎてしまったので、スタバで(しばらく飲めないであろう)抹茶フラペチーノを飲みながら、地上を観察していました。
国内線なので、飲食店も書店も近くに固まっていてうれしいですね。
書店をぶらぶらしていたらあっという間に搭乗開始の時間。遅延などもなく無事に関西国際空港へ到着しました。
1時間程度のフライトでしたが、JALのサービスが良いので、乗り換えが若干名残惜しかったです。
関空にはお昼ごろに到着しました。ガラス張りの建物には日の光がたっぷり差し込んでいます。搭乗口付近で待っていると、聞き覚えのある声で
「ヒャッハーーーーーーーー!!!!」
というはしゃぎ声が聞こえてきました。
声のする方向を見やると、長身の女性と小さな女の子が手をつないで回転していました。
なんというアクロバティックな動き・・・女性の方は三つ編みをしており、私はそれがヘイディ先生であることがすぐに分かりました。
ヘイディ先生とは、日本でフィンランドの伝統手芸を教えているフィンランド人女性です。
流暢な日本語で丁寧に教えてくださるし、1回のレッスンで作品が完成するので、気軽に参加できます。
私も、ピルタナウハ織りとサーミ族のブレスレット作りを先生から教わったことがあり、次はカレリア刺繍のバッグ作りのレッスン参加を狙っているところでした。
▼ヘイディ先生のレッスン情報は公式サイトやSNSで更新中です
私が声をかけると、先生もすぐに気づいてくれて「どこ行くのー?」「ポルヴォー?あぁ!!いいところね!!」と搭乗まで娘さんと遊びながら話しました。
娘さんには今のうちに体を動かしてフライト中に眠ってもらう戦略です。
大人でも9時間半座りっぱなしはきついのに、ちっちゃな女の子なら尚更、航空機特有の轟音や圧力も怖くて大変かもしれない。
どうか、この子が機内でぐっすり眠れますように。こうして思わぬ再会に喜びながら、私はフィンランド航空のエアバスに搭乗したのでした。
出国の朝に起きた不思議な出来事
2016.7.13.
8年間住んだ目白のアパートの一室に存在するのは、スーツケースと床に敷いたタオルと私だけです。
ベッドは早めに回収に出してしまったので、しばらくフローリングの上で寝ていました。
(背中が痛い・・・)
昨夜、江古田のイスラエル料理屋さんで食べきれなくてテイクアウトしたピタサンドが朝食です。
今思えば、私、最後の晩餐をどうしてお寿司などの日本食にしなかったんだろう・・・おいしかったけど。
ピタサンドでお腹を満たした後、ソフトコンタクトレンズを装用しようと片目分のパックを開いたところ、なぜか2枚入っていました。
高校時代から10年近くジョンソンエンドジョンソンさんのお世話になっていますが、このような現象は初めてです。
1個の卵を割って、黄身が2個出てきた経験も今までの人生でなかったので、思わずテンションが上がってしまいました。
「これはきっと、もうこの世にいない私の家族とご先祖の人々が応援してくれているのかも・・・」
私はそんなことを思いながら身支度を整えて、羽田空港へ向かったのでした。
もう、レフティのメキシカンオムライスも、卯月のお寿司も、プァンタイのタイ料理も、エーグルドゥースのミルフィーユも、椎名町の中華タカノの定食も、食べられなくなっちゃうかもしれないのは寂しいな。
グッバイ目白。良い街だった!