電子政府エストニアのe-Residency Official Meet-Up in TOKYOに行ってきました(前編)
2018.7.26.
平日夜の渋谷には、エストニアの現状を聞くために大勢の人々が集まっていました。チケットも完売だそうです。私はフィンランドを隣国の視点から眺めてみたくて参加しました。
「エストニアスタートアップシーン徹底解説」というサブタイトルのとおり、エストニア出身の起業家 Paul Hallasteさん、日本出身の起業家 Kota Alex Saitoさんのそれぞれがエストニアの歴史から現在の社会システム、未来の展望まで網羅的にお話されていました。
私は日本でe-Residencyという言葉が独り歩きしているように感じていたので、この場でメリットやデメリットについて聞けてよかったです。
登壇された御二方によれば、 e-Residencyを取得したからといって居住権は得られないとのことでした。
しかしながら日本では人気ゆえに、申請から駐日エストニア大使館でのピックアップまで4ヶ月かかるとか。ひょえー。
今日は私の個人的な日フィンものさしでを通して納得したり、興味深かったりしたエストニアの事柄を前編と後編に分けてピックアップします。
前編(Paulさんパート)▼
・エストニアの人々は、最低でも2つの言語を話せる(例:エストニア語、ロシア語など)
独立回復までの間はドイツ、ロシアなどに統治されていた背景から、他国の言語を学ぶのはごく自然なことだそうです。小1~高3の間に、3つの外国語を学ぶのだとか。
また、国内向けコンテンツが少ないため、アメリカの番組を小さい頃から見ていたそうです。
スウェーデンとロシアに支配されていたフィンランドも、公用語はフィンランド語・スウェーデン語に加え、若い人は英語も上手いですし、テレビのチャンネルも半分以上は欧米諸国の番組にフィンランド語の字幕が付いていました。
・アルコール摂取率世界一
ロシアからウォッカが、ドイツからビールが入ってくるからだそうです。
摂取率が高い=人々が手に入れやすい=買い求めやすい価格帯なのかもしれません。
そういえばヘルシンキからタリン行の船に乗ると、酒税の安いエストニアへとんぼ返りしてまでお酒をまとめ買いしに行くフィンランド人をたくさん見かけますね。
皆スーツケースを持って行きます。フィンランドあるある。
船の売店で買って、階段に座り込んで、タリンの港に着く前から飲み始める人々さえいます(笑)
・エストニア電子政府の3つのポリシー Once-only No legacy Seamless
Once-only 名前や住所などの情報は一度だけ登録すればもう同じ作業は発生しない仕組み
No legacy 前のレガシィを無くし(過去の成功に執着せずと私は解釈)、どんどん新しいものを取り入れる
Seamless (フィロソフィーとして)政府自体は透明な存在であり、人々が政府を(面倒くさいと感じないことはもとよりそもそも)意識すらしない存在であることが理想という考え方
上記に基づいて、合理性を貫いたキレッキレのベンチャー企業が行いそうなことを国家レベルで実施した結果、
-会社の設立、銀行取引、確定申告(平均3分)それぞれ95%以上がオンラインで行われている
-毎年GDPの2%を節約
-警察は50倍以上効率アップ
-病院での整列30%削減
-電子投票でコストを60%節約
-毎月300m分積み上げた量の紙を節約
できているそうです。いいなー、見ていて清々しい気持ちになります。
一方で、あらゆるものを電子化してしまうと、例えばセキュリティなどに不安を感じて反発する人もいるのでは、と私は思いました。
しかしAlexさんとPaulさんによれば、人々のITリテラシーが高いことに加えて「エストニアの国も人々も、電子化することを信頼している」からこういったことが実現できているそうです。
なぜなら、ブロックチェーンなどの仕組みが安定していて、政府が勝手に仕組みを変更できないようになっているからだとか。
そのときの話に出てきた「政府を信じられなくても仕組みを信じられる」という表現が、日本の複雑な時代で生まれ育った私にはとても新鮮に感じられたのでした。
(後編に続きます)
それでは、もいもーい。