日本とフィンランドのブログ[noteに移行します]

ポルヴォーアートスクールで体験した”本当の”フィンランド教育や都内の北欧イベントレポートを週1で更新予定。記事寄稿などについてはコメント欄かTwitterのDMよりどうぞ。

日本のサウナ観への違和感

先週末に『公衆サウナの国フィンランド 街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』の著者こばやしあやなさんのトークイベントへ行ってきました。

 

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年始のうちに本書を予習していたとき、私はとりわけ以下のフレーズに出会って、今まで抱えていた日本でのサウナ観に関するモヤモヤがスッキリ晴れたのでここに記しておきたいと思います。

 

例えば、蒸気が出たあとに「フュヴァット・ロウリュット(いいロウリュだね)」というフレーズをつぶやいたりはするものの、「ととのう」に該当するサウナタイムの常套句は、そもそもフィンランド語には見当たらないのです。

 

ほんとにそう!!その言葉を待ってました!!!!(心の声)

 

日本のサウナ好きの方々にとってサウナは「ととのう」ための場所という考え方らしいのです。一方、私はフィンランドで1年以上生活していましたが、フィンランド人がサウナに関して「ととのいにいく」「ととのった」といった趣旨の言葉を口にする瞬間には一度も遭遇したことがありません。

 

日本の人が「サウナでととのいました!」「ととのいにきました!」とツイートするのを初めて見た私は、サウナ我慢大会をしながら大喜利をしてるのかと想像しましたが、誰も一向に大喜利の回答に触れないことから「(フィジカルなりメンタルなりを)整える」という意味だったことをあとあと認識したのです。

 

それから、サウナー(サウナ愛好家)にあたるフィンランド語も耳にしたことがありません。たぶん、フィンランド語にするとsaunoa<動詞>+ja<役割・職業の接尾語>でサウナヤ saunajaになるのかな。いずれにせよ聞いたことはないですが。

 

私の体感ではフィンランドでの「サウナ入る?」は「今日はお風呂にする?それともシャワー?」のような気軽さ。ここではサウナはごく日常生活圏内のものであるのに対し、日本ではわざわざ(ときには遠出してまで)入りに行くところであるから、このようなツイートや言葉が生まれるのだなと、文化のちがいをおもしろく思いました。

 

どうして「ととのう」という考え方が日本に根付いたのかを私なりに想像してみると、ここ3,4年かでマインドフルネスやヨガが流行っているように「心と体を健康的にする活動」が今の日本では求められているということです。(裏返せば、それだけ日本の人々は一昔前よりもストレスフルな毎日を送っているのでは?とも)

この活動を言い換えると「浄化する」「整える」だと思います。

 

あやなさんは著書で、日本の入浴文化とフィンランドのサウナは、はるか昔からそれぞれ禊や湯灌、お産や遺体の洗浄の場として使われてきたことから神聖な場所であることを指摘されており、サウナとは「浄化する場」という点ですごくしっくりきます。

 

先月、フィンランド人のクリスマスパーティーにおじゃまするために8年間住んだ目白の街を久しぶりに歩きました。

 

aakikko.hatenablog.com

 

そこで一番感じた変化は、ほんの2年の間にスポーツジムが4,5箇所も新しくできていたことです。新しくてきれいなクリニックやドラッグストアもいくつか見かけました。

ほんの小さな街を歩いただけでも、心身の健康に対する関心度の高まりを感じたので、この「ととのう」サウナブームとも少なからず関係あるのではと思ったのでした。

 

この1,2年のムーブメントによって、件の「ととのう」が日本のメディアで独り歩きしたら、フィンランドの人々に対して「世界一幸せ」「ほっこり丁寧な暮らし」に加え、「サウナでととのってる」というイメージが定着していくのかもしれませんね。